グリーンエネルギー調達制度
制度の概要
地球温暖化対策の一環として、電気や熱、燃料などのエネルギー購入時にグリーンエネルギーの自主的な選択を推進する制度です。グリーンエネルギーとは、太陽光・風力・水力・バイオマス等の自然エネルギーから生まれた電力や熱、燃料です。自然エネルギーから調達した電力の環境付加価値をグリーン電力証書などによって取引し、製品やサービスのグリーンエネルギー利用を需要側から拡大させるために、自治体は自ら購入したり、地域内の自然エネルギーを適正倍率で評価したりと、地域内のグリーン電力調達を促します。
又、官民協働のグリーン・エネルギー・パートナーシップに基づいて情報交換や広報活動も行っています。自治体が競争入札によって電力を購入する際、東京都のように一定比率の自然エネルギー使用とグリーン電力証書を合計した環境価値の確保を入札者に課す方法と、神奈川県のように二酸化炭素排出係数と環境配慮項目を点数化して総合評価方式により入札対象を絞る方法が主流です。
事例
東京都
東京都では、入札時の電力グリーン購入規程として、電力供給のCO2排出係数を0.392kg-CO2/kWh未満とすると共に、RPS法の新エネルギー等電気相当量とグリーン電力証書を合わせて5%以上の環境価値を確保することを定めています。この条件を満たすため、都施設によるグリーンエネルギー購入時に、排出係数の低い電気と環境価値を異なる事業者から調達することが可能です。又、環境価値の確保量についての環境配慮内容を記載する「環境価値の確保仕様書」の作成が求められています。電力自由化を背景として、電力購入先の選定時の条件として一定の自然エネルギー利用を求めることで、事業者の自然エネルギーの利用を拡大するだけでなく、入札やESCO事業や市民参加など多様な方法によって、東京都はエネルギーのグリーン化を目指しています。今後は、グリーン熱やグリーン燃料に対する制度運用の進展も考えられます。
神奈川県
神奈川県は、電気事業者の環境配慮を促すため、2006年度から県庁舎の電力購入時にCO2排出に関する入札条件を導入しました。2008年度からは、入札を行う全ての県機関を対象に、電気事業者の環境配慮の評価方法を定めた「神奈川県電力のグリーン購入制度」を適用し、総合評価方式によって温暖化対策に積極的な電気事業者を優先して入札に参加させる仕組みを設けています。事業者の前年度の「CO2排出係数」を60点満点評価、ミリ用エネルギー活用状況や新エネルギー導入状況などの「環境配慮項目」を40点満点評価します。特に、県内発電分のグリーン電力証書の購入状況への配点を20点として高く評価することで、県内の太陽光発電などの普及を図っています。100点満点中の獲得点数を算出して事業者を3段階に格付けし、入札参加資格の有無や入札可能な範囲を決定します。ランクⅠ(70点以上)に県機関の全ての電力購入の入札資格、ランクⅡ(60点以上70点未満)に契約電力2,000kW未満の電力購入の入札参加資格を付与し、ランクⅢ(60点未満)には入札参加資格を与えないことで、環境配慮に基づく電気事業者の差異化をしています。