東京都
二酸化炭素排出削減目標
制定年 | 目標値 | 目標年 | 基準年 | 条例計画 |
---|---|---|---|---|
2006年 | 25%削減 | 2020年 | 2000年 | 東京都環境基本計画(2008) |
自然エネルギー導入目標
制定年 | 目標値 | 目標年 | 基準年 | 条例計画 |
---|---|---|---|---|
2006年 | 20% | 2020年 | − | 東京都環境基本計画(2008) |
地球温暖化対策・自然エネルギー普及政策
項目 | 有無 | 内容 |
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自然エネルギー設備設置者への支援・助成 | ○ | 太陽エネルギー利用機器の設置者に対する補助制度開始(H21、H22) |
計画書制度 | ○ | 地球温暖化対策計画書制度、建築物環境計画書制度、エネルギー環境計画書制度 |
排出量取引制度 | ○ | 施行 |
建築物についての政策 | ○ | 大規模事業者に対する温室効果ガスの排出量削減義務化(H22) |
グリーン電力・熱証書 | ○ | グリーン電力証書、グリーン熱証書 |
環境局都市地球環境課
(50〜60人)都庁舎及び競争により電力を調達している施設において、予定電力量の5%の環境価値を購入。・平成21年度及び平成22年度において住宅で使用する太陽エネルギーの環境価値を譲渡することを条件に補助金を交付し、譲渡された環境価値はグリーン電力(熱)証書として活用する方針・グリーンエネルギー購入フォーラム幹事団体として再エネの需要プル施策を展開
具体的な政策および制度
「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」東京都の制度の中で“地球温暖化”という言葉が登場し、地球温暖化対策が位置づけられたのは2000年12月策定の「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)」からである。この条例では「ディーゼル車NO作戦」により自動車公害対策を進めたことが知られているが、「地球温暖化対策計画書」提出の義務付けにより、温室効果ガスの排出量を大規模事業所に早い段階から公表させた点で大きな意義がある。さらに「建築物環境計画書」提出を義務付け、一定規模以上の建築物については環境配慮の取組みを公表させた。 2002年1月策定の「東京都環境基本計画」では地球温暖化対策が明確に打ち出され、2005年までの”戦略プログラム”が行政計画として示された。さらに地球温暖化対策を具体化した「温暖化阻止!東京作戦」が2002年2月に公表された。同年11月には「都市と地球の温暖化阻止に関する基本方針」が策定され、2005年まで“戦略プログラム”をベースとして具体的取り組みが進められた。こうした施策の中心は「温暖化対策計画書」制度や省エネラベルキャンペーンをはじめとする省エネルギー政策であり、再生可能エネルギーに関しては風車プロジェクト「東京かざぐるま」に代表されるパイロット事業に留まっていた。 2006年2月には“新戦略プログラム”が策定され、温暖化対策として、省エネルギーと並び再生可能エネルギーも柱とすることが打ち出された 。 2008年6月には環境確保条例が改正され、都内の大規模事業所を対象に「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」が導入された。 |
「気候変動対策方針」2006年12月に長期の計画となる「10年後の東京」を発表し、オリンピック候補都市として、「オリンピックを梃子に、環境、安全、文化、観光、産業など様々な分野で、より高い成長を遂げていく」としている。環境・地球温暖化対策分野では、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現する「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」の展開が示された。その中では数値目標として、2020年までに東京の温暖化ガス(温室効果ガス)排出量を2000年比で25%削減することが掲げられ、実現のための5つの柱として①省エネ技術を活用、②世界一の再生可能エネルギー利用都市の実現、③持続可能な環境交通ネットワークの実現、④環境技術の開発と環境ビジネスの創出、⑤カーボンマイナスムーブメントが挙げられている。 また、こうした大きな展開のために「地球温暖化対策基金」として10年を期限とする500億円の取崩型の基金が予算化された。 2007年6月には「気候変動対策方針」が「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」の基本方針として発表された。大規模CO2排出事業者への削減義務と域内排出量取引(キャップ&トレード)、環境CBOなどによる中小企業への省エネ対策の推進とその削減価値の取引、太陽光の固定価格買取と低迷する太陽熱の普及拡大を含む100万kWの太陽エネルギー導入のための仕組み作り、都独自の「省エネルギー促進税制」の検討などが進められている。また、『全国自治体と連携した「電気のグリーン購入・全国ネットワーク」の構築』も位置づけられている。 同方針の発表後「マルチステークホルダー会議」が開かれ、産業界、NGOを含む激しい議論が行われ、2008年6月にはキャップアンドトレードなどを推進するための環境確保条例の改正が行われた。 国が踏み込めていないキャップ&トレードや、環境税に近い「省エネルギー促進税制」などは単体で見ても非常に大胆な施策である。加えて、100万kWの太陽エネルギー導入では、単に自治体から補助金を与えるだけの政策ではなく、基金や税制優遇、都市計画、需要プルの考え方などと組み合わせた「政策のパッケージ化」(ポリシー・ミックス)を見据えていることにより、有効な政策となることが期待できる。 また、「温暖化阻止!東京作戦」の5つの提案には、「提案1 オフィスなどの大規模事業所へ、CO2排出削減義務を導入」「提案2 CO2削減証書市場の創設」「提案3 新築建築物に、太陽光発電など自然エネルギー利用を義務付け」など、気候変動対策方針につながる施策がすでに示されており、気候変動対策方針にて施策化されたことがわかる 。 |
「再生可能エネルギー戦略」2006年4月には高い目標値と3つの方向性を持つ「東京都再生可能エネルギー戦略」が策定され、再生可能エネルギーの大きな展開が始まった。東京都の地球温暖化政策は、EUや米国カリフォルニア州など世界の先進地域と足並みを揃えることをかかげた。 この戦略において、“2020年までに都のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を20%程度まで高めることをめざす”として、非常に意欲的な目標値を設定している。 またこの戦略では国の用語である「新エネ」とは別に再生可能エネルギーの定義を定め、地球温暖化対策となる再生可能エネルギーは全て取り込んでおり、熱では太陽熱発電、パッシブソーラー、地熱・地中熱も含んでいる。 戦略における3つの方向性として①需要の創出、②自然のエネルギーとしての特質を活かす、③個人と地域が選択するエネルギー利用が挙げられている。 ①は東京都が大きなエネルギー需要を持つことを活かし、再生可能エネルギーの需要を増やすとともに市場の障害を取り除いていく市場プル型の施策 を進めることである。②はエネルギーの有効性を表す指標であるエクセルギーの考え方を取り入れ、低温熱需要に対して太陽熱などの自然エネルギーを積極的に活用することを意味している。③は自らのエネルギー生産と利用するエネルギーの選択を含んでおり、街区や集合住宅、再開発などにも面的に進めることを示している。 その点でこの再生可能エネルギー戦略は従来のものとは全く異なっており、戦略に基づいたプロジェクトを導くものとなっている。 |
東京都環境局ウェブサイト「東京都の地球温暖化対策」
東京都の地球温暖化対策